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うちの bubble wrap バブルラップ

こんにちは。
熊本現代美術館で村上隆さんが「バブルラップ bubblewrap」という展示をされている。
モノ派―スーパーフラットまでの間のムーブメントを作品や個人のコレクションを並べて今の日本現代美術界を突き破る展示らしい。

現代美術はドキドキするので嫌いではないが、そのへんの古物とちがって理屈をこねるので頭がついていかない。
何でもないものにふと惹きつけられ、誰にも知られずになにもなかったようにそこにあり、いつか忘れていくことくらいでちょうどいい。うちの奥さんはほんとにそんなタイプで、あんなに見て興奮していたのに何も覚えていないことがあって驚く。ビビる。

さてこの展示は境界線をこえ常に模索し名誉もお金もあるに違いない村上さんの眼。
以前カイカイキキギャラリーで見た「陶芸←→現代美術の関係性ってどうなってんだろう?現代美術の系譜に陶芸の文脈も入れ込んで」展の拡大版のようなので気になる。
今回は日比野克彦やらグルービジョンやら古道具の坂田さんまで登場なのでいきたいような、いきたくないような。
中学生の時、神保町でトマソンの隣にあった日比野さんの写真集を手に取り、段ボールでできた苺のショートケーキを見たときにはぶっ飛んだ記憶があるし、坂田さんちのハリボテもあるらしい。希望としてはトマソンや船越桂さんや杉本博しさんやらも見れたらいいけどコレクションしてなさそう。トマソンはストリートから生まれてものんびり楽しむから表現にパンチはない。個人的には路上観察学が出てきたときにどう感じたか、坂田さんにお聞きしたい。ストリートで育ったはずもない柳や魯山人は時代を超え「物の見方を変えた人」だから村上さんに当選したのだろう。古美術の人の関心もむくでしょう。
自分が参考にしたいものと、見て落ち着くものは違うのだろう。

なぜ迷うかというと以前、横浜美術館で開催の「スーパーフラットコレクション」に行って坂田さんのコーヒーネルからスリップウェア、キーファー、魯山人、奈良美智、アラーキーから地元栃木の田中一村、ウォーホルまでなんでもコレクションの山にふらふらになりまるで人酔いしたかのような感覚で外にでたのを思い出してしまった。
見た事のないものを見るので驚きの展示ではあったが、物と対峙して落ち着いてきれいだなーと思うことがひとつもなかった。
展示としては落ち着かない。現代美術だ。
古美術や工芸や古物もだれが配置したのかもわからないし、日本的な伝統的な繊細な空間演出をも消しさりたかったのかもしれない。
混沌とした空間だった。
良く考えれば村上さんの欲しかったものを集めたんだから村上ワールドなわけだ。
今回の展示は世界の現場にいる村上さんにしか見えない世界だろうし、語れない。日本の現代美術、アートとお金の世界、アート界リッチと貧乏人の気持ち。戦後の現代アートと古道具坂田の美になにをみるのか。交差する時空。
表現として共通する何かを知るべくしての構成であろうか。選んで並べてみたら気付くこともあるしな、と勝手に思う。
村上さんはどんなパンチをくりだすのか。
学ぶものはある。 行ってもいないのにこの言いよう。何故熊本!
現代美術的要素を坂田さんのインスタレーション・展示に感じてくれたことはファンとしては素直にとても嬉しい。


話は飛ぶが、いつも思うがこういうコレクションの展示は作品なりの本人が生きている場合、こういう風に展示しますよー、と許可を取っているのだろうか。古物が死んでしまっている場合も多い。そういう展示とは趣旨が違うということか。どう使い回そうが持ち主の勝手なので自由だが悲しい結末だ。そうならないことを思う。きちんと再現しないと悲しい。


僕は古物商のペーペーで安価な品物しか扱うことがかなわない身である。どう想像したって村上さんや柳さん、魯山人さん、坂田さんの立場や行動力や財力にはいわずもがなである。
必然と手元にある本物の古物バブルラップ(プチプチ)をじっと見ることになる。黄変したプラスチックの容器の底に3枚重なっていた丁寧に丸く切り抜かれた古物バブルラップ。
うちの bubble wrap バブルラップ_f0354880_21141881.jpeg



僕の仕入れは露店の地べたにヒザを付き手を埃だらけにしながら自分の気に入るものだけをさがす、唯一の朝のアウトドアライフ、朝活だ。
アーバンライフみたいに言ってみて後悔する。僕の手元にはもっと特別な古物バブルラップがある。
透けたものやセロテープを愛するきっかけになる品。
いつかのフリマの段ボールの中から発掘した。カードを入れるためのものか手作り、修理、大雑把なやつ。
内側がプチプチなのでソフトな入れ心地になっている。
うちの bubble wrap バブルラップ_f0354880_21143807.jpeg

うちの bubble wrap バブルラップ_f0354880_21150017.jpeg

でもここから何かが変わった。お金を払ってもどこにも売ってはいない。
確か、これも店主に売ってほしいと言ったら、困った顔をされ貰った気がする。
なので僕も売りはしない。
僕の中のバブルラップ時代とはこういうものだ。バブルラップ好きのバブルラップ時代のめっけもん。
これでいいのだ。地べたが好きだし発見もある。
こうゆう商売もありだな、と思ったら坂田さんという大先輩がいた。世界にはこうゆうものが好きなひとたちがたくさんいることをインスタで知った。
貧乏くさいオチで全く関係ない話になりました。大きな世界はお任せします。
現代美術作家と古物商がテーマとはとても興味が湧きます。

お金はありませんが、小さな小さな世界で、誠実にものに向き合うことで見えるものがあるのかなと思います。
それが僕の幸せです。
等身大の自分だからです。




by morocraft | 2019-01-06 21:09 | ひとりごと | Comments(0)